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@クローゼット@
「ライトーライトー!」
遠くでえるの声が聞こえる。
僕は長くて自慢の少し茶色い耳をピクリと反応させて、
おそらく、リビングからであろうその人の声を聞き取ろうとしていた。
「おーい!ライトー?」
僕がえると一緒に住んでいるマンションはすごく大きくて、
部屋がいくつもあって、もちろん、えるは僕専用の部屋をくれたけど。
あまりにも広すぎるから、少し寂しくて、
僕はあの、いんてりあ風な自分の部屋が大嫌いだ。
「ライトー?どこですかー?」
どうしてえるが僕を拾ってくれたのかはわからないけど、
でも僕はえるという人間が、自分の部屋くらい、嫌いなわけじゃない。
だけど、
でも、
やっぱり最後には捨てられてしまうんだから・・・・・
ガチャ。
「やっぱり此処にいたんですか。私のクローゼット、汚いですよ?」
真っ暗だったその個室に光が差し込んで、
僕は少しだけ眩しそうに目を掠めると、視界の先にえるが笑っている。
クスクスと、なんだかとても嬉しそうだ。
「ほら、出てきなさい。美味しい紅茶を入れましょう。」
僕はなんだか呆れられているような気がして、
クローゼットからは断固として出て行かなかった。
出て行ったら、このまま道端に捨てられてしまうかと思ったんだ。
ちゅー。
唇に、えるの少し冷たい唇。
僕は、泣きそうになっていたんだろうか?
えるがこうして僕に唇を重ねるとき、
たいてい僕はすごくかなしいか、寂しいか、泣きそうな時だったから。
「不安そうな顔しないでください、ライト。」
「・・・・・・ぅん。」
えるも少しだけ、寂しそう、に見えるのはどうしてだろう。
「さ、行きましょう。」
抱っこされた腕が、温かくて。
僕はえるが、そんなに嫌いじゃないと、思った。
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